設    立     趣    意    書

 
ひきこもりの状態にある若者とその家族は、それぞれの事情を抱えながら日々葛藤しています。ひきこもりは解決が難しい問題であるにもかかわらず、これまでは当事者や家族だけで対応するべき個人問題とされた時期が長く続いてきました。そうした自己責任論が問題の解決をますます困難にし、現在の「8050問題」の遠因になっています。 
 
全国の40歳以上のひきこもりは約61万人と推定されています。秋田県はどうでしょうか。実数は分かりませんが、2020年に県が行った調査では15歳から64歳までのひきこもりは987人とされています。期間は10年以上が最も多く、全国、県内ともに、中高年のひきこもりの長期化が浮き彫りになっています。 
 
次代を担う多くの若者が社会に出られないまま、明日への希望を描くこともできず、日々悶々と過ごしているという現実は、当事者や家族にとってつらいだけでなく、全国最高水準の人口減少率と高齢化率が進んでいる秋田県にとって、社会的にも経済的にも計り知れない損失となっていると言っても過言ではありません。 
 
現在、秋田県内では国の制度による公的な相談支援機関があるほか、民間によるさまざまな支援団体も活動しています。家族会の結成や当事者の交流の場などの社会資源も整備されています。そうした組織を活用して社会復帰につなげた人も多いと思われます。 
 
ただ、多様化するひきこもりの要因に対応するには、一つの団体や組織の力では十分でありません。関係する民間団体、研究機関、行政などがそれぞれの垣根を越えたネットワーク型の支援態勢を構築し、当事者と家族に寄り添った継続的な伴走型支援を実現することが必要です。こうした横の連携強化は支援者自身の〝ひきこもり〟や孤立化を防ぐことにもつながります。 
 
私たちが設立を目指す一般社団法人は、県内にある様々な団体や組織の連携を強化して、秋田県の総力を挙げて若者の自立支援、就労支援に取り組みます。こうした活動を通じ、ひきこもりや孤立・孤独に苦しむ若者に、ここ秋田の地で生きる勇気と希望をもたらすことが大きな目標です。 
 
なにとぞ私どもの趣旨にご賛同いただき、皆さまのご参加をお願いいたします。 
 
2023年3月